あったらいいね通信①
福祉のインタビュー
札幌市ホームレス⽀援センターJOIN ⼩川遼さん
このニュースレターでは、あったらいいねの活動を紹介するだけでなく、様々な⽅にお話をお伺いして、福祉に関わる現状や問題について知っていただくきっかけになればと考えています。
前回に引き続き、札幌市ホームレス相談⽀援センターJOINにて活動しています⼩川遼(おがわ・りょう)さんにお話をお伺いしました。
様々な背景を持つ⽣活困窮者に⽀援を⾏っている札幌市ホームレス⽀援センターJOIN。⼩川さんが⽀援活動に携わるきっかけは、些細なものでした。
◎普段出会わない⼈と出会えて新鮮だった
⼩川さんがこの活動に携わることになったきっかけは、野宿者⽀援を⾏う団体に誘われたこ
とでした。
「友⼈が『北海道の福祉と労働を考える会』という学⽣主体の団体に誘ってくれたのがきっかけでした。⼤学は哲学専攻で、福祉の勉強をしていた訳でもないですし、当時は社会福祉に興味があったわけではないのが本⾳です」
その中でも、普段会わないような⼈と出会えることに⾯⽩さを感じたと話します。
「早朝に刑務所から出所してきた⽅から問い合わせがあり、出所後の家探しをお⼿伝いしたことがあります。その⽅は傷害致死で捕まった⽅だったのですが、合流してすぐに⿊塗りのバンに載せられとても驚いたのを覚えています(笑)。 普段⽣活していると起こらないような出会いや体験があり、とても新鮮で惹かれました」
◎社会福祉に携わるモチベーション
⽣活困窮者の⽀援⾃体への興味はなかった⼩川さん。しかし、もともと社会問題への関⼼は
強かったと⾔います。
「⾃分は⾼校に⾏っていなかったこともあり、いわゆる『普通のレール』から少し外れていた時期がありました。その時、⾃分の苦しみや悩みは、社会構造と繋がっているのではないかと考えるようになりました。⾃分で進路を決断しなければならない世の中だから将来に不安を感じるのであって、農耕社会だと今のような悩みはなかっただろうなとか。そういったことを考えていたので、⾃分はもともと社会問題への関⼼が強かったと思います」
不公平な世の中で⾃分が恵まれていることに負い⽬を感じることもあり、そういった感情は
今の活動に繋がっているとも語ります。
「⾃分はその後⼤学に⼊ることができました。しかし、同じような状況で家庭の事情によっ
ては⼤学進学を諦める⼈もいるわけで、⾃分が恵まれた⽴場にいることに負い⽬を感じるこ
とがあります。こうした公正さへの感覚は、現在の活動とも繋がっている気がします」
◎福祉に興味のある⼈達へ
学⽣のころからコンスタントに貧困問題に携わっている⼩川さん。⾃⾝の経験と照らし合わせて、⼤事なのは知識よりも根性だと教えてくれました。
「困窮者⽀援に携わりたいと考えている⽅は、とりあえず現場に⼊って後から知識をつけていく形でも良いと考えています。少なくとも困窮者⽀援の分野において、⾃分が役に⽴つのか、関わるのに⼗分な知識があるのかと迷う必要はなくて、知識よりも根性の⽅が重要です」
実際、路上⽣活者への⽀援は知識も経験もない⼈々が切り拓いたものだとも語っています。
「社会制度から取りこぼされた⼈たちを助ける事業を、福祉の専⾨家が⾏うことは稀であるように思います。ホームレス⽀援などに関しても、国が放置していたものを⼀般の⽀援者たちが試⾏錯誤しながら進めていったという経緯があります。福祉の未来を切り拓いていくのに専⾨性は必須ではないと考えています」
⼩川さんからあったらいいねの皆さんへのメッセージも頂きました。
「あったらいいねさんも、専⾨家でない⼀般の⼈達が試⾏錯誤しながらつくってきたものだ
と思いますし、このようなスタンスでの活動がもっと増えたら良いと考えています。応援し
ています」
札幌市ホームレス相談⽀援センターJOINで⽇々⽣活困窮者の⽀援を⾏っている⼩川さん。
活動のきっかけは些細な偶然でも、地道に続けることで知識や経験が⾝につき多くの⼈々の⼿助けをする活動へ繋がりました。私たちもできることから社会福祉に関わっていきたいですね。
⼩川さん、ありがとうございました!